志よければ全てよし。だからこそ苦言。【本の書きだし:kakidashi.com】
本の書き出しをWEB上で再現したと言って話題になっているこのサイト。
▼【本の書きだし】- 出だしよければ、全て良し。
ひとことで言います。
「志よければ全てよし」
ところで、このサイトを作った人たち。
目的は、本当に「紀伊国屋の施策をWEB上で再現する」だけ、なのでしょうか?
私は、大いに疑問です。
なぜなら、サイト上に書かれている言葉とは裏腹に、ネタ元である紀伊国屋への敬意など、まるで感じられないからです。
「サイトを作った人たちは"紀伊国屋の施策をWEB上で表現したくて作った"と主張しているのに、なぜそんな風に感じるのか?」と、不思議に思われる方もいると思います。
私が「価値を生み出した先行者への敬意が無い」と感じた理由は、以下の3つです。
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1. 人様が体を張って生み出した価値に「ただのり」すれども「工夫」せず
2. 敬意を示すのは口だけで、ライバル会社をリンク支援(一部アフィリエイトも懐に)
3. 先駆者の思いを踏みにじり、イノベーションの価値を奪う無神経さ
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1. 人様が体を張って生み出した価値に「ただのり」すれども「工夫」せず
このkakidashi.comというサイトで使われている「シンプルなデザインで、本の書き出しだけを見せて興味を引く」というアイディアはとても良いと思うのです。
しかし、そのアイディアはこのサイトを作った人たちが考えたものではありません。
新宿の紀伊国屋本店が「失敗して売上が減少するリスク」を取ってを実行し、その挑戦的な施策の面白さが多くの人々の関心を引きつけて、話題となったものです。
だからこそ、多くの高い評価を得る結果を生み出すことができたのだと考えられます。
このアイディアは、これを企画した誰かがリスクを取って実行したからこそ、
高く評価される「安全圏」に移行したアイディアです。
仮にもし、彼らが全く同じアイディアを紀伊国屋より早く思いついていたとしても、
それを実行して成し遂げた人がいるから「価値があるアイディア」と認められたのです。
リスクを取って価値を生み出したのはkakidashi.comというサイトを作った人ではありません。
サイトを作った方は、人様が生み出した価値のあるアイディアに「ただのり」しただけです。
そこに、自分達ならではの「工夫」を加えていれば、その点は評価されるべきです。
しかし、そのような「工夫」は特に見当たりません。
2. 敬意を示すのは口だけで、ライバル会社をリンク支援(一部アフィリエイトも懐に)
「amazonの方が利用者が多いし、ユーザビリティ良いでしょ?」という意見は理解しています。しかし、人様の生み出した価値に「ただのり」しておきながら、その相手に対する敬意や配慮があまりにも無さ過ぎるのではないでしょうか?
少なくとも、紀伊国屋の取り組みに敬意を持ち、それをWEB上で広めるために作ったのが本当の目的であれば、「ここで購入できますよ」と、紀伊国屋のオンラインストアや店舗などを紹介するはずです。
それがなぜ、ライバル社のamazonにリンクして、amazonの売上を支援するのでしょうか?
私の考え過ぎと思われる方もいるかもしれませんが、サイトを作った彼らは考えなさ過ぎです。
更に言えば、自分達ならではの工夫やネタ元の紹介リンクは追加していないのにもかかわらず、なぜamazonのアフィリエイトだけはちゃっかり追加しているのか?も疑問です。
例えばこれ。いくつかのURL末尾に「yumiyon-22」と付いているものがあります。この「(ユーザー名)-22」が付くことから、amazonアソシエイトと呼ばれるアフィリエイト広告と考えられます。
※広告収入の受取主となるユーザー名yumiyonは、このサイトのデザイン担当者のお名前と一致しているようです。
全てのURLがアフィリエイト広告のものではないかもしれません。
また、「自分達でアイディアを考えたサイト 」でamazonのアフィリエイト付きURL使用するなら、特に問題だと感じることも無かったでしょう。
しかし、今回のようなケースでは「本当の目的は"自分達の宣伝"と"amazonのアフィリエイト広告収入"なのでは?」と、そもそもの真意を疑ってしまいます。
3. 先駆者の思いを踏みにじり、イノベーションの価値を奪う無神経さ
ここで少し、先行者が「なぜこのアイディアを生み出し、実行したのか?」を考えてみましょう。
紀伊国屋が何のために奇策を実施したのか?
もちろん、「本」の面白さを広めるというのも理由のひとつとしてはアリでしょう。
しかし、企業は営利活動のための組織です。
もっと言うと、市場に価値を提供することで利益を得て、社会全体の豊かに貢献していくことを求められる存在です。
ご存知の通り、リアルな書店は「amazonや楽天などのネット通販」「BOOK OFFなどの中古書店」「電子書籍」の台頭により、苦戦を強いられている状態です。
リアルな店舗には、これらに打ち勝つために「新しい価値」を生み出すことが求められています。そうしたイノベーションを求められる状況があったからこそ、売上減少のリスクも取って奇策を実行した…と考えられます。
さて、どこかの大学生さん達が勝手に自社のアイディアだけパクって、自分達の売名目的でamazonへ誘導するWEBサイトを作ったのだとしたら、アイディアの先行者である彼らはどう思うでしょう?
当事者でなくても、これから先「何か新しいものを生み出す仕事をしたい」と想像する時、思い浮かべるのはどんな人でしょうか?
「良いもの」はしばしば真似されます。
真似されるというのは、ある意味、優れていることの証かもしれません。
このアイディアは優れたアイディアですが、他社も用意に真似できますし、もっと早く、自社のネット上にも展開させるべきだったかもしれません。
しかし、勇気を持って新しい試みを成功させた先行者に対して、この仕打ち?と思うと、少なくとも私には、このサイトを作った人たち言う目的を鵜呑みにして信用することは、現時点では困難です。
この次には、ぜひ自分達らしいアイディアを活かしたサイトを作っていただけることを期待したいところです。
せっかく作る技術を持っているのなら、その使い道にも信念を持ってほしいと思います。
もう一度言います。
「志よければ全てよし」
カッコいい問題解決とは、愛を持って新しいシステムを作るということ。【非常食の定期宅配事業:yamory】
targt t target="_blank" target="_blank"災害時の物資について、さまざまな問題が浮き彫りになった3.11。
都内でも水や食料、そしてなぜかトイレットペーパーなどの買い占めが起こり、スーパーから沢山のモノが消え失せた。
この時、「非常食の備蓄は大事!」と思い知らされた人はどれだけ沢山いただろう。
けれども、今でも必要最低限の備蓄ができてる人は、どのくらい残っているだろう?
あの地震から一年近い月日が経ち、よくも悪くも「いつも通り」の生活に戻りつつある中で、この非常食の備蓄問題を解決するステキなサービスが始まった。
震災の後に分かった、これまでの非常食に不足していた点を補うだけでなく、非常食の備蓄をきちんと継続するために考えだされたサービスだ。ライフライン復旧までに必要といわれる3日分を、賞味期限が切れる半年ごとに配送してくれる。
さらに、単に食べられればそれで良しというだけでなく、「大変なときこそ、美味しくてあったかいご飯が食べたい!」という非常時の人間の気持ちに寄り添った配慮も成されている。 そして、売り上げの一部は「ハタチ基金」という東日本大震災時に生まれた子供が20歳になるまでの長期的な支援を行う支援基金に寄付されるとのこと。このシステムを考える過程の節々に愛を感じます。
問題解決にはいくつかの方法があると考えていますが、このように愛を持って新しいシステムを作るyamoryのサービスは、なぜ今まで無かったのかと思わざるを得ないほど、素晴らしいと思いました。
そこで私も、「良いものを作ったら世間からめっちゃくちゃ誉められる」→「良いものを作った人が報われる」→「みんな良いものを作りたくなる」→「世の中が良いもので溢れる」というシステムを作りたいので、ちまちまとこういうブログを書いてみることにしました。
それはともかく、考えついたすばらしいアイディアが、本当に実行されたというのはわくわくするお話です。
今後のご活躍を楽しみにしています。